あの猫は、いったい何処に行ってしまったのでせうね。
素粒子物理学の不思議な世界をモチーフにした歌曲を含む全6曲
TRACK LIST
曲目一覧
Ⅰ 素粒子サアカス(intro)
作曲・作詞・
セリフ:ヱルカ
作曲・編曲・Mix・マンドリン
:F原
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❝ 何処からかやって来た【素粒子サアカス】なるサーカス団の連中が、ガチャガチャチンチン、やかましい音をさせながら隊列を組んで道を進んでいた。「さアさア、寄ってらっしゃい見てらっしゃい、世にも不思議なサアカス団、素粒子サアカスがやって来たよ!タネも仕掛けもない、本当のマジック、曲芸をお見せするよ!」怪しげなメイクのピエロが、そこいらにチラシを撒きながら甲高い声でわめいていた。僕の足許に舞い降りたサーカスのチラシを拾ってみると、そこには、安っぽいわら紙に、血の色に似た鮮やかな赤のインクで、何処の国のものかも分からないような文字が刷られていた。でかでかと『素粒子サアカスがやってきた!』とだけ。なぜか僕にはそれが読めた。その理由をチラシを撒いていたピエロに訊こうと、僕が顔を上げた瞬間、サーカス団の連中は跡形もなく消え去っていた。❞
Ⅱ シュレディンガーの猫
作曲・作詞・歌唱
:ヱルカ
作曲・編曲・Mix・ギター・
:F原
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物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが1937年に提唱した思考実験「シュレーディンガーの猫」。とある確率により毒ガスを発生させる装置と猫を同じ箱に閉じ込め、一定期間後の猫の生死がわからない状態を『量子力学的に生と死が重なり合って存在している』としたものです。ただこれは、あくまで当時の量子力学の欠陥を指摘する際のたとえ話であり、実際にそのような実験は行われなかったとされています。この多世界解釈をファンタジーの方向に発展させ、実際にシュレーディンガーがその実験を行ったなら、というイメージで曲作りをしました。そのため、曲調は猫が辺りを軽やかに歩き回るリズムをテンポに採用。歌詞のなかには、イギリスの古い言い伝えである『猫には九つの命がある』や『猫の王様』を用い、また、そのイギリスに縁の深い猫好きで有名な日本作家である夏目漱石の作品からもモチーフをいただいています。『架空の世界のシュレディンガーが名前もつけずに飼っていた猫を自らの実験の道具にした、しかしその猫の魂は、いくつもの並行世界の中で様々な可能性の中で分岐して転生を繰り返し、猫が愛したシュレディンガーの魂を探し続ける』という物語がイメージモチーフとなっています。
Ⅲ 血塗れトルソー
メロディ原案・
作詞・歌唱
:ヱルカ
作曲・編曲・Mix
:F原
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❝ サアカスの衣装を作る仕立て屋の青年が、サアカス団一番の人気がある曲芸師の少女に恋をした。しかし曲芸師の少女はすでに団長の息子との婚約が決まっていたため、仕立て屋の青年の恋が実らな いことは分かっていた。そこで青年は、あるとき流れて同じ街にいた魔女に、恋した曲芸師の少女そっくりのマネキン人形の製作を依頼した。数か月後、恋する少女に瓜ふたつの、ふしぶしが動く布張り人形が彼のもとに届いた。彼は狂喜した。その人形をもとに彼は恋する少女のための衣装づくりに励んだ。できあがった衣装ごと、人形を抱き上げ踊ることもあった。満ちた月明かりの下、ある日人形は自ら動いた。青年は戸惑ったが、叶わぬ恋の腹いせもあって、その人形を一生の伴侶とすることを決めた。あくまでも、あくまでも少女の代わりとしてーーー。❞
Ⅳ ニュートリノ
作曲・作詞・歌唱
:ヱルカ
編曲・Mix
:F原
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誰にも視えることなく、電気を帯びていないがゆえに、ただただ真っ直ぐに飛び交うことしかできない素粒子、ニュートリノ。ほんの百年にも満たない昔、1930年にスイスの物理学者ヴォルフガング・パウリによって、ようやっとその存在が予見されました。宇宙の始まりからずっと存在していたのに、これまで(地球では)誰にも見向きされることがなかった、そんな小さい小さい、極小の存在である彼等に、もし感情が存在していたとしたら?そうした想像をもとに、この曲を作った...つもりだったんですが(曲を作るまでは)、歌詞を書いていくうち、あれよあれよというまに、むしろニュートリノを観測する側である『スーパーカミオカンデ』の曲になっていったという...まあいいか(笑)。遠い遠い距離を旅しても、観測されるとその瞬間消滅する、という、その悲しいくらいの儚さを表現してみたつもりです。視えなくてもそこにある、ニュートリノの存在を、この曲を通して感じていただけたら、と図々しくも思います。
Ⅴ 素粒子サアカス
作曲
:ヱルカ
編曲・Mix
:F原
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❝ 素粒子サアカスの興行が終わり、がらんとしたサーカステントの中で、僕は佇んでいた。「どうだったかい?私たちの公演は」不意に、後ろから声をかけられて振り返ると、いつか道端で出会った、あの怪しげなメイクのピエロが立っていた。その右手にはジャグリングのボールが二つ、くるくると舞っている。「あ...嗚呼。ご招待ありがとう。とても面白かったし、興味深かったですよ。あれらの演技は、本当にタネも仕掛けもないのですか」そう聞いた僕の質問が、どんなにか可笑しかったのだろう、小さく、くつくつと笑うことをしばらく続けたあとで、訝し気な表情の僕に気が付いたのか、ピエロはこう続けた。「...いや、失礼。あなたはこの世界の出来事に不思議なことが本当にあるとお思いなのですね。そんなことはない。すべてはただひとつの理のなかにある。すべては巡っているのです。例えばこのボールのように。ふたつのものが引き合い、反発しあい、あるいは相殺しあい...」ぷつん、と、どこかで小さく音がした。瞬間、サーカスのすべては消えた。どこかから、僕に向かって声がした。「ああ、しまった。しまった。対消滅だ。うっかりだ」それ以来、素粒子サアカスの興行をどこでも見ることはなかった。❞
Ⅵ シュレディンガーの猫(inst)
作曲・作詞・歌唱
:ヱルカ
作曲・編曲・Mix・ギター・
マンドリン
:F原
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メロディの出来がめっちゃ良かったので、インストを収録しました!(自画自賛)
曲を気に入っていただいた方に、口ずさんでいただく一助になれば幸いです。
STAFF
スタッフ
ABOUT CD
CD情報
F原:
編曲・Mix・ギター・マンドリン
ヱルカ:
作曲・作詞・歌唱・ジャケットデザイン
Special Thanks:
エレクトル(ジャケットイラスト)
Sapara
作品名:素粒子サアカス
頒布日:2019年10月27日(日)
音系・メディアミックス同人即売会
M3 2019秋
頒布場所:東京流通センター(TRC)
第二展示場2階 シ04-a
サークル名:マヱムキロジック
メディア:CD(紙ジャケット入り)
ライナーノーツ付属
頒布価格:イベント価格 500円
BOOTH価格(送料別) 700円
BUNNER
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